ソーチェンの正しい目立て
どのカッティングアタッチメントもお手入れが必要です。STIHLチェンソーのソーチェンを定期的に目立てすれば、フル性能が保証されます。
14.04.2024
概要:ソーチェンの目立て
ソーチェンの切れ味が悪くなると、作業が大変になり、安全性も低下します
ソーチェンの目立ては、正しい工具を使えば簡単に行うことができます
- チェンソーの刃の目立てには、適切な丸やすりを使用してください
- 目立てなどのメンテナンス作業についても、チェンソーの取扱説明書をお読みください
ソーチェンの目立てでの適切な角度は30度です。目立アングルプレートなどのメンテナンス工具に付けられている印を見れば、正しい目立て角度を確認することができます。そして、ソーチェンを自分で正確に目立てすることができます。
ソーチェンの目立ての頻度は、様々な要因に左右されます。基本的には、ソーチェンが自然に木材に食い込んでいかなくなったら、切断中に大きな切りくずではなく細かいおがくずしか出ないようになったら、切り口が斜めになるか、正確に切り始めることが困難になったら、常にチェンソーを目立てしてください。煙の発生もソーチェンの切れ味が悪くなったことを示す兆候である場合があります。
ソーチェンの目立てには、丸やすりが最適です。やすりの適切な直径は、チェンピッチに基づいて特定することができます。STIHLソーチェンではデプスゲージに刻印があり、適切な丸やすりの直径を判断できます。
ソーチェンの切れ味が悪くなるまでの時間は、実際の使用時間と使用中にかかる負荷の強さによって異なります。常に最高の切断結果を得るには、切れ味が完全に悪くなるまでチェンソーで作業し続けないでください。完全に切れなくなる前に、少しずつやすりをかけて、常に最適な作業ができるようにしてください。
STIHL正規販売店では、ソーチェンの目立てを承っておりますのでぜひご相談ください。正規販売店ではプロフェッショナル向けの工具を使用してソーチェンの目立てを行い、すぐに再びお使いいただけるように最適な状態にしてお返しいたします。
ソーチェンの切れ味が悪くなっていることを見分ける方法
最高のソーチェンも時間の経過と共に切れ味が悪くなります。その結果、作業が大変になり、チェンソーの負荷が増大します。さらに、肉体的な負担も増加し、切断結果が益々悪くなります。
チェンソーでの作業中に以下の兆候が見られた場合は、ソーチェンを目立てするか、交換する必要があります。
ソーチェンの切れ味が悪くなったことを示す5つの兆候
兆候1
ソーチェンが自然に木材に食い込んでいかない。チェンソーに力を加えて、力づくで食い込ませなければならない。
兆候2
チェンソーで木材を玉切りする場合、つまり木材を垂直に切断する場合に、粗い切りくずではなく細かいおがくずが発生する。
兆候3
チェンの潤滑が正常でチェンの張りが適切であるにもかかわらず、切断中に煙が発生する。
兆候4
チェンソーが一方向に動き、切り口が斜めになる。これは特に、刃の切れ味が片側だけ悪くなっているか、刃の長さが均等でないことを示しています。
兆候5
チェンソーがガタガタと音を立てて、鋸断する際に振動が大きくなる。正確に切り始めることが困難。
動画ガイド:STIHL 2-in-1やすりホルダーでチェンとデプスゲージを研ぐ
この動画ガイドでは、STIHLチェ ンソーのソーチェンとデプスゲージを2-in-1やすりホルダーを使用して一作業工程で研ぐ方法が紹介されています。
デプス量とは?
デプス量とは、上刃の先端とデプスゲージの上端の間隔のことを指します。この間隔が大きければ大きいほど、1枚の刃が木材を削り取る量が多くなります。
デプス量は刃を目立てすると減少します。これは、刃が目立ての際に短くなると同時に、その形状(後ろに向かって幅が狭く高さが低くなる形状)が原因で低くなるためです。
従って、良好な切断結果を得るには、ソーチェンの目立てをする際にデプスゲージも点検して、場合によっては調整する必要があります。
ソーチェンを目立てするための適切な丸やすりの選択
チェンピッチによって、ソーチェンが特定のチェンソー性能クラスに分類されます。どのSTIHLソーチェンでも、デプスゲージに目印として数字が刻印されているため、チェンピッチを簡単に確認することができます。そしてSTIHL変換表を見て、適切なやすり直径を簡単に確認することができます。
デプスゲージの数字が読み取れなくなった場合は、チェンピッチをチェン用コントロールゲージで確認することができます。または、チェンピッチを計算することも可能です。その場合は、例えばノギスを使用して、あるリベットの中心から二つ先のリベットの中心までの距離を測定し、その結果を2で割るとチェンピッチがミリメートルで得られます。ただし、チェンピッチは常にインチ単位で表示されるため、それに応じて結果を換算する必要があります。1ミリメートルは0.039インチなので、ミリメートル単位で測定された結果に0.039を掛ければ、インチ単位の値が得られることになります。そして、算出した値に対応するやすり直径をSTIHL変換表で確認してください:
デプスゲージの刻印 | デプスゲージの別の刻印(旧型) | チェンピッチ | 丸やすり直径 |
---|---|---|---|
1 | 1/4 | 1/4" | 4.0ミリメートル |
2 | 325 | .325" | 4.8ミリメートル |
3 | 3/8 | 3/8" | 5.2ミリメートル |
4 | 404 | .404" | 5.5ミリメートル |
6 | PまたはPM | 3/8" Picco | 4.0ミリメートル |
7 | 1/4" Picco | 3.2ミリメートル |
知っトク情報
ご注意ください。ソーチェンやすりは、鉄工やすりなどとは刻みが、すなわち表面構造が異なっています。従って、後者はソーチェンの目立てには適していません。
ソーチェンの目立て:ガイド
適切な丸やすりを選択したら、作業場が安全であることを確認してください。適切な工具に加えて十分なスペースが必要であるほか、自分自身の安全を確保するために頑丈な素材の作業手袋を着用する必要があります。
ソーチェンを清掃し、損傷の有無を点検してください。チェンを少し張り直して、刃が目立てしやすくなるようにしてください。フェルトペンで、それ以外の刃の基準となる基準刃に印を付けてください。
摩耗マークにまだ達していないことを必ず確認してください。達している場合は、ソーチェン全体を交換することをお勧めします。
片方の手でハンドルをしっかりと持ち、もう一方の手でやすりを前に向かって刃の横を通過させるようにして、やすりをかけてください。基準刃から始めて、やすりを刃に適切にあてがって、内側から外側に向かって圧力をかけながら刃に沿ってやすりをかけられるようにしてください。
必ずガイドバーに対して90度の角度でやすりをかけてください。やすりは前に向かってかけるときにしか食い込まないようにして、戻すときはやすりを持ち上げてください。やすりは一定の間隔で少し回して、やすりの片側だけが摩耗しないようにしてください。
STIHLソーチェンは、原則として30度の角度で目立てします。メンテナンス工具 (目立アングルプレートなど)を使用すれば、それに付いているマークを基準にして、非常に簡単に正しい角度に従って作業することができます。
やすりをかける際は、やすり直径の4分の1が上刃からはみ出すようにしてください。基準刃をやすりがけして、刃先を再び完璧な状態にしてください。ソーチェンの目立てはチェンソーのメンテナンス作業よりも頻繁に行うことをお勧めします。そうすれば、チェンソーを常に良い状態に保つだけでなく、目立てに手間と時間がかかってしまうことを防ぐことができます。
刃先の光の反射にばらつきがある場合は、刃がまだ鋭くないことを意味しています。
光が均一に反射していれば、刃の目立て状態が良好であると判断することができます。
その後、同じ側のすべての刃を同じ長さにやすりがけしてください。そして、チェンソーの向きを180度変えて、反対側のすべての刃をやすりがけしてください。すべての刃が基準刃と同じ長さになるように注意してください。
刃を目立てすると、デプス量も自動的に減少します。すべての刃の目立てが終わったら、デプスゲージを点検して、必要に応じて調整する必要があります。デプスゲージの点検には、チェンピッチに合ったファイルゲージを使用してください。
点検するには、ファイルゲージをソーチェンにあてがってください。デプスゲージがファイルゲージからはみ出ている場合は、デプスゲージを調整し直す必要があります。
平やすりでデプスゲージに水平にやすりをかけて、ファイルゲージと同一平面上に来るようにしてください。こぶ付きドライブリンクを備えたソーチェンでは、こぶもデプスゲージと同時に処理されます。デプスゲージが正しい高さになったら、デプスゲージの上端をチェンのサービスマークと平行にやすりがけしてください。この際、デプスゲージの一番高い位置をそれ以上下げないでください。目立てしたばかりの刃に平やすりが触れないように注意してください。デプスゲージが低すぎると、チェンソーがキックバックするリスクが高まります。
理論的には、デプスゲージをファイルゲージなしで調整することも可能です。その場合は、常にサービスマークを見ながら作業することになります。ただし、このフリーハンドでの研ぎ方ではミスが起きやすいため、ファイルゲージの使用をお勧めします。注意:デプスゲージを下げる際は、必ず平やすりを使用してください。この作業に丸やすりは適していません!
製品アドバイス:2-in-1やすりホルダーを使用すれば、ソーチェンの刃を目立てすると同時に、デプスゲージを正しい高さに下げることができます。
STIHLヘクサソーチェンの目立て
目立てがこれまで以上に簡単になりました。革新的なSTIHLラピッドヘクサソーチェン(3/8")では、専用開発の六角やすりを使用して、それ以外のメンテナンス工具なしで目立てすることができます。ヘクサ刃の革新的な形状にピタリと合う新しいタイプの六角やすりを使用すれば、理想的な目立て角度でソーチェンを素早くほぼ完璧に目立てすることができます。その仕組みの詳細については、動画をご覧ください。また、ラピッドヘクサチェンでは新しいタイプの刃形状が採用されているため、ソーチェンの寿命が非常に長くなっており、36 RSより最大10パーセント高い切断能力が得られます。
動画:STIHLのラピッドヘクサソーチェン(3/8")
ラピッドヘクサソーチェンを目立てするには、六角やすりをガイドバーに対して90度の角度であてがってください。その際、隆起部を上に向けて、刃のマークと平行に動かせば、25度の理想的な目立て角度が自動的に得られます。
片方の手でハンドルを持ち、もう一方の手でやすりを前に向かって刃の横を通過させてください。戻すときはやすりを刃から離して、前に向かって動かすときにしかやすりをかけないようにしてください。その後、デプスゲージを調整してください。その詳細な説明については、上記のステップ3を参照してください。
軟材または硬材に合わせた、 デプスゲージの最適な調整
デプスゲージはソーチェンの刃の一部です。これにより、チェンソーで鋸断する際に刃が木材に食い込む深さと、削り取られる木材の量が決まります。そのため、最適な切断能力を得るには、デプスが木材の種類に応じて適切に調整されている必要があります。そこでの注意点をご説明します。
デプスゲージは木材の種類に合わせて調整すること
鋸断する際の木材の反応は、木材の種類によって異なります。デプスゲージを正しく調整すれば、チェンソーでの作業が楽になります。実際の現場では、チェンを購入する際に、主に鋸断する木材の種類に注意することをお勧めします。
硬材では、鋸断時の抵抗は軟材の場合よりも大きくなります。そのため、硬材を鋸断する場合は、デプスをあまり長くしないようにしてください。軟材を切断する場合は、極寒期でなければ、デプスを硬材の場合より最大0.2 mm長くしておくことができます。その場合は、ひとつ大きいチェンピッチのファイルゲージを使用することができます。またSTIHLでは、硬材と軟材に最適なデプスを直接特定できる特殊なファイルゲージも提供しています。
デプスを選択する際は、チェンピッチを参考にすることができます。硬材でのデプスの適切な寸法については、上の表を参照してください。
ソーチェンの目立てに関するその他のヒントとコツ
- 最初に、フェルトペンで1本の刃にマークを付けてください。このマークは、刃のけずり量が均等であることを点検するのに役立ちます。やすりを2回から3回かけた後に、けずり量を点検してください。けずり量が均等であることが確認された場合は、作業方法が適切であることを意味しています。色が一部しか剥がれていない場合は、正しいやすりを使用しているかどうかを確認し、やすりがけの位置が高すぎたり低すぎたりしないように注意してください。
- 切れ味が完全に悪くなるまで、チェンソーで作業し続けないでください。時々数回やすりがけするだけで、ソーチェンの切れ味を再び良くすることができます。
- やすりがけの回数を数えて、どの刃でも同じ回数にして、すべての刃が同じ長さになるようにしてください。
- 片方の列の刃が他方の列よりも短い場合は、片方にかけた力が他方よりも強かったことを意味しています。長い方の刃に1回から2回やすりをかけて、刃の長さを等しくしてください。
- 製品アドバイス:2-in-1やすりホルダーを使用すれば、ソーチェンの刃を目立てすると同時に、デプスゲージを正しい高さに下げることができます。
STIHLチェンソーの取扱説明書
こちらから、STIHLチェンソーの取扱説明書を快適にダウンロードできます。