リチウムイオンバッテリー:基礎知識
自社開発のSTIHLリチウムイオンバッテリーは、ツールのパワーを長持ちさせるユニークなパワーパックです。リチウムイオンバッテリーに関する詳細をぜひご覧ください。
22.05.2024
リチウムイオンバッテリー:構造と仕組み
まず最初に、リチウムイオンバッテリーの構造と仕組みについての概要をまとめました。
リチウムイオンバッテリーは多数のセルで構成されています。
リチウムイオンバッテリーの構造
リチウムイオンバッテリーは多くのセルで構成されており、各セルには 正極(プラス)と負極(マイナス)の2つの電極があります。これら2つの電極の間には電解液があり、放電中と充電中にリチウムイオンはこの電解液の中を通って移動します。
さらに、これらの電極は短絡を防ぐために、セパレーターによって電子的に分離されています。
リチウムイオンバッテリーの仕組み
リチウムイオンバッテリーを使用すると、負極側でリチウムイオンと電子が放出され放電が始まります。リチウムイオンは電解液とセパレーターを通って正極側に移動し、電子は外部回路を流れて電気作業を行います。このプロセスを通してバッテリーを駆動する起電力が発生します。
充電の場合、これとは全く逆のプロセスとなり、 リチウムイオンは正極側から電解液を通って負極側に移動します。
リチウムイオンバッテリー:寿命と耐久性
STIHLのリチウムイオンバッテリーは使い捨て製品ではなく、非常に長寿命で優れた耐久性を特長としているため、持続可能性という意味では大きなメリットとなります。リチウムイオンバッテリーの充電は、最大1,200回の充電サイクルに適しています。最新のセルテクノロジーを採用したSTIHLバッテリーAP 500 Sは、2,400回もの充電サイクルを達成します。
STIHLの平均を超えるリチウムイオンバッテリーの寿命は、特に優れた製品品質であることを反映しています。STIHLバッテリーパックは、新型旧型を問わず様々なSTIHLバッテリーツールに使用できます。ツールに合わせて開発されたSTIHLのバッテリーパックは、絶大な信頼性を提供するだけでなく、長期的な投資にもなります。
リチウムイオンバッテリーのバッテリー容量
リチウムイオンバッテリーのバッテリー容量は、個人ユーザーが自分で測定することはできません。バッテリーの残存容量についてご不明な点がおありになる場合、またはバッテリー容量の低下にお気づきの場合は、お近くのSTIHL正規販売店にてご相談ください。STIHLの正規販売店では、バッテリー診断装置を使用してバッテリーの容量を正確に測定します。STIHLバッテリーの駆動時間と充電時間に関するご質問にもお答えいたします。
リチウムイオンバッテリーの深放電
バッテリーの深放電(過放電状態が続き、必要最低電圧を下回った状態)、つまりほぼ完全に放電させると、バッテリーに損傷を与える可能性があります。STIHLでは最先端のバッテリーテクノロジーを採用しています。STIHLのリチウムイオンバッテリーの自己放電量は、年間1~3%とごくわずかです。このためSTIHLのバッテリーは通常、完全放電から確実に保護されています。
ただし、使用時以外はリチウムイオンバッテリーを正しく保管することをお勧めします。1ヵ月以上バッテリーを使用しない場合は、バッテリーの寿命を延ばすために、40%~60%程度の充電状態でバッテリーを保管してください。
40%~60%の充電状態でバッテリーを保管することをお勧めします。
もしも完全に放電してしまった場合でも、最新のSTIHLバッテリーであれば通常は問題なく数ヶ月間保管して冬を越すことが可能です。ここで重要な役割を担うのが、インテリジェントなバッテリーマネージメントシステムBMSです。
BMSは、事前に定義した範囲内でリチウムイオンバッテリーの定常動作とセル電圧の両方を監視します。バッテリーセルの電圧が著しく低下すると、バッテリーは自動的に静止状態になり、放電プロセスが中断されて深放電を防ぎます。
リチウムイオンバッテリー:温度範囲
STIHLのバッテリーパックを最適に保管するためには、パックの寿命ができるだけ長くなるように、周囲温度約20℃で保管することをお勧めします。このように保管すれば、保管直後に使用する場合も、性能をフルに発揮させることができます。基本的にバッテリーパックは-20℃から+50℃の範囲で保管できます。ただし、これらの限界領域では、機能や寿命の低下が予想されます。
ご不明な点がございましたら、取扱説明書をお読みになるか、STIHL正規販売店の専門販売員にご相談ください。
使用済みバッテリーはSTIHL正規販売店に返却できます。
リチウムイオンバッテリーの廃棄
使用済みバッテリーは、STIHL正規販売店に返却して廃棄してもらうか、公共の回収場所に返却してください。
STIHLリチウムイオンバッテリーのARタイプについては、その設計上まだ充電が残っている可能性があるため、公共の回収場所ではなく、必ず正規販売店にご返却ください。お住まいの地域で適用される環境に配慮した廃棄に関する規則を遵守してください。
バッテリーは、保護されていない状態での保管や輸送を絶対にしないでください。必ずショートしないように保護された状態で返却しなければなりません。使用済みのリチウムイオンバッテリーは、元の梱包材に入れる、ビニール袋に入れる、電極をテープで覆う、または乾いた砂の中にバッテリーを埋めるなどして、ショートしないように保護してください。サービスページでは、バッテリーや古い電化製品の廃棄に関する詳細情報をご覧いただけます。
リチウムイオンバッテリー:リサイクル
責任を持って資源を扱うためにはリサイクルが不可欠です – リサイクルによってリチウムイオンバッテリーの貴重な部分を再利用することができます。リチウムイオンバッテリーのリサイクルには湿式化学法があります。回収したバッテリーは破砕され、ブラックマスに変換されたあと金属を電気化学的に回収します。
参考情報:持続可能性は誰にとっても重要です。STIHLでは持続可能な社会を実現するため、今後リサイクル原料や倫理的に調達された資源をリチウムイオンバッテリーに取り込んでいくことを計画しています。
メモリー効果
バッテリーはメモリー効果の発生がよく懸念されますが、その真相は?
メモリー効果とは、バッテリーを使い切らないうちに早期充電することによってニッケルカドミウムバッテリーの容量が減少することです。この種のバッテリーは、充電する前に完全に放電させないと、前回の充電過程で必要な電力量を「記憶」してしまい、充電時にその電力量しか使わなくなるため、すぐに容量が低下して使えなくなってしまいます。
しかし、バッテリーの最先端技術を採用したSTIHLのリチウムイオンバッテリーでは、このようなメモリー効果は発生しません。そのため、いつでも追加充電が可能です。
メモリー効果の詳細については、当社のアドバイスをご覧ください。
重要な質問と回答
リチウムイオンバッテリーとは、アノード(負極)とカソード(正極)の間をリチウムイオンと電子が移動する動きに基づく電池です。両方の電極の間には電解液があり、放電中と充電中にリチウムイオンはこの電解液の中を通って移動します。また、これらの電極は、短絡を防ぐためにセパレーターによって電子的に分離されています。
リチウムイオンバッテリーは、アノード(負極)とカソード(正極)の2つの電極、電解液、そしてセパレーターで構成されます。
リチウムイオンバッテリーは、リチウムイオンがバッテリーセル内の電解液を通って移動することによって機能します。アノード(負極)とカソード(正極)の間のイオンと電子の動きによって、起電力が発生します。
STIHLのリチウムイオンバッテリーは通常1,200回、場合によっては2,400回の充電サイクルが可能です。
リチウムイオンバッテリーを製造するには、すべてのバッテリーセルを正しい位置に配置し、STIHLバッテリーの場合は、レーザー溶接で接合されます。
リチウムイオンバッテリーは、電気自動車、電動自転車、スマートフォン、ノートパソコン、デジタルカメラなど、様々な分野で使用されています。STIHLでは、チェンソー、刈払機、その他多くの園芸用製品などのバッテリーツールにリチウムイオンバッテリーを使用しています。
リチウムイオンバッテリーは危険ではないのか、あるいは負極上に析出する結晶が原因で電池が燃えたり爆発したりするのではないかと疑問視されることが多々あります。STIHLのバッテリーは、 最高の安全性と品質基準に基づいて開発されているため、火災の危険性はほとんどありません。
リチウムイオンバッテリーは、公共の回収場所またはSTIHL正規販売店に返却して廃棄してください。
リチウムイオンバッテリーをリサイクルするには、湿式化学法があります。この方法では、回収したバッテリーを細かく砕いて、ブラックマスに変換させ、金属を電気化学的に回収します。