職場およびご家庭での作業における聴覚保護具
職場やご家庭での作業で大きな騒音が発生する場合は、適切な聴覚保護具を着用することで耳を保護することができます。選択や使用の際に注意すべき点をご説明いたします。
06.05.2024
作業で聴覚保護具が重要である理由
ブロワー、チェンソーまたはヘッジトリマーなど、エンジン駆動のツールによる作業では、音がうるさく感じることがあります。人間の耳は敏感で、大きな音にさらさないようにしなければなりません。庭や山林で作業を行う場合、騒音を常に避けることはできません。
庭や建設現場、工業および手工芸品事業などで騒音が発生する作業を行う際には、過度の騒音や長時間にわたる騒音から聴覚を保護し、聴力障害の発生を防ぐために、聴覚保護具を着用する必要があります。
騒音にも色々な要素があります。音の強さだけでなく、騒音源からの距離にも注意しなければなりません。例えば、ヘッジトリマーのように作業中に耳のすぐそばにエンジンがあるか、または芝刈機のように1メートル以上離れた場所にあるかでは異なってきます。したがって、適切な聴覚保護具を選ぶ際には、実際にどの程度の騒音が耳に直接届くのかを知ることが重要です。
園芸用ツールや作業用ツールの取扱説明書には、2つの値が記載されています:音響パワーレベルは、ツール本体で直接の音量で、音圧レベルはユーザーに実際に届くレベルを示しています。いずれも単位はデシベル(dB)で表示されます。
どのような聴覚保護具がありますか?
耳栓と イヤーマフという2つの形状があります。重要:どちらも保護する力は同じで、遮音性能に根本的な違いはありません。どちらのタイプの聴覚保護具も、現在では目的別に様々なデザインが提供されています。また、ヘルメットやバイザーなど、個人用保護具(PPE)の他の製品と組み合わせることもできます。
耳栓とイヤーマフのどちらでも、お好きなタイプをお選びください。通常は、着用した時に最も快適だと感じる聴覚保護具を選択します。
耳栓
耳栓は、長時間装着しなければならない工場や生産現場でよく使用されます。耳栓のメリット:このような環境では、耳栓なら耳に汗をかかず、何度も外したり付け直したりする必要がないため、多くの場合耳栓の方が快適だと感じます。
耳栓は、一般的に円錐形の発泡ウレタン製で、外耳道に簡単に挿入できます。深くフィットするため、良好な遮音値が得られます。耳栓は頭の上にかぶるものではなため、メガネをかけている人にとってはイヤーマフよりも快適です。
特殊な形状としては、ヘッドバンドまたはストラップ付きの聴覚保護耳栓や、着用者の外耳道の形状に合わせて形成されたイヤーモールドがあります。
イヤーマフ
イヤーマフは太いヘッドフォンのように見え、同じように頭の上にかぶるものです。イヤーマフのパッド部分は、通常ヘッドバンドまたはヘルメットに装着して使用します。遮音原理は聴覚保護用耳栓と同じです。作業休憩時には、上に開けたり、外したりできます。
イヤーマフやヘルメット装着タイプのイヤーマフは、屋内外のあらゆる作業に適しています。イヤーマフはどんな天候でも使用できます。このタイプの聴覚保護具は、気温が低い場合も作業中に耳が温かく保たれるというメリットがあります。
一般的に、保護具を頻繁に付けたり外したりする必要がある場合や、汚れた環境で作業する場合は、イヤーマフやイヤーマフが装着されたヘルメットの使用をお勧めします。手が樹脂で汚れる場合や山林での作業などでは、耳栓よりもイヤーマフの方が衛生的です。
Bluetooth®対応イヤーマフ
無線またはBluetooth®対応の聴覚保護は、従来のイヤーマフをさらに発展させたものです。STIHLのBluetooth® (BT) 対応イヤーマフ - DYNAMIC Soundのようなモデルは、スマートフォンや接続された無線機器を介して同僚とコミュニケーションを取ることもできます。さらに、このタイプの聴覚保護具にはエンターテイメント機能もあります。ラジオやストリーミングで音楽を聴くと、モチベーションが上がり、単調な作業でも集中力が下がりにくくなります。
聴覚保護装置の組み合わせ
騒音が非常に大きい場合は、耳栓とイヤーマフを同時に着用することもできます。これにより、より高い遮音性を得ることができます。ただし、遮音性に関する両方の値を単純に加算してはならないことに注意してください。したがって、欧州の公認試験機関によって承認された組み合わせのみを使用してください。
厳選された聴覚保護具
STIHLでは、職場やご家庭における作業で聴力を保護するために、イヤーマフや耳栓などの聴覚保護具をご用意しています。
どの程度の音量から聴覚保護具を使うべきですか?
職業活動においては、従業員が聴覚保護具を必要とする騒音レベルに関して具体的な要件が定められています。林業、建設現場、公共エリアに関わらず、騒音・振動に関する労働安全衛生規則(LärmVibrationsArbSchuV)では限界値が定められています。
それによると、音量レベルが80 dB以下の場合は問題ありません。
暴露措置値の下限値は80 dBです。この閾値を超える騒音の場合は、聴覚保護具を使用してください。
暴露措置値の上限値は85 dBです。騒音がこの値に達したら、聴覚保護具の使用が義務付けられます。
一般的には、どんなときに聴覚保護具を使用すればいいですか?
お庭のお手入れや森での薪割りなど、個人の作業でも騒音が発生することはあります。一部のエンジンチェンソー、エンジン刈払機、またはエンジンヘッジトリマーでは、ロックコンサートに匹敵する騒音レベルとなる100 dBを超える騒音が発生することがあります。電動式モデルの場合、85~100 dBに達します。これは幹線道路と同じくらいの音量に相当します。
知っトク情報:騒音は、バッテリーツールを使用すると最も少なくなります。バッテリーブロワーは、60~80 dBの騒音を発生し、バッテリー刈払機やバッテリーヘッジトリマーの騒音もほぼ同じ値のレベルとなります。
ご家庭の庭や森で行う個人の作業で聴覚保護具を着用すべきかどうかについては、一概にお答えすることはできません。重要なのは、ツール自体の音量です。聴覚保護具を選択する際に使用する音圧レベルについては、すべてのSTIHLツールの取扱説明書に記載されています。値は一般的な使用例に基づいて、耳元での実際の音量を示すものです。
STIHLからのヒント:個人的な作業に対して労働安全衛生規則が適用されるわけではありませんが、この数値は優れたガイドラインとなります。つまり、 80 dBを超えた時点で聴覚保護具を使用して、聴力を最適に保護することが推奨されています。
ガイド:作業に適した聴覚保護具の選択方法
STIHLツールの取扱説明書をお読みください。ここには、STIHLツール動作時の音量が記載されています。
ツールを使用する期間を推定してください。
STIHLのラインアップから正しい聴覚保護具をお選びください。製品名には、最初に絞り込みむためのSNR値も記載されています。例:STIHLの聴覚保護具コンセプト23は、加重平均で約23デシベルを遮音します。
正確な判定にはHML値、ここでは特にM値を使用します。STIHLの聴覚保護具コンセプト23の場合は例えば20 dBとなります。つまり、 聴覚保護具は中音域を約20デシベル遮音します。
イヤーマフと耳栓では、どちらのタイプでも保護性能は同じです。このため、個人の好みが選択の決め手になります。また、取り扱いやすさも大切です。長時間にわたって聴覚保護具を着用する場合、通常は耳栓が適しています。聴覚保護具を頻繁に付けたり外したりする必要がある場合は、イヤーマフを使う方がよいでしょう。
一部の作業では、顔面保護具と聴覚保護具を併用する方が良い場合もあります。この場合も、耳栓とイヤーマフのどちらのタイプでも併用できます。ヘルメットでは、ヘルメットに直接イヤーマフを装着するという選択肢もあります。
ご不明な点やご質問がございましたら、STIHL正規販売店にお気軽にご相談ください。
STIHLからのヒント:適切なSTIHLの聴覚保護具は簡単に見つけることができます。コンセプトと呼ばれるモデルにはすべてヘッドバンドが付いており、このモデルにさらに「F」が付くと、このヘッドバンドを折りたたむことができます。「BT」の付くモデルは、Bluetooth®接続に対応しています。
聴覚保護具の手入れと清掃方法を教えてください。
聴覚保護具を長い間安全に使用するためには、聴覚保護具の正しい取り扱いに注意する必要があります。
- クリーニング
作業後は蓄積したほこりや液体を取り除き、聴覚保護具がしっかり乾燥するようにしてください。
- お手入れ
イヤーマフを頻繁に使用する場合は、シールリングと発泡パッドから成る衛生キットを定期的に交換してください。形状の変化、亀裂、破損、ヘッドバンドの変形などが現れたら、交換が必要であると考えてください。
- 保管
聴覚保護具は、直射日光や熱を避け、清潔で乾燥した環境で保管してください。
適切な聴覚保護具を選択するための要約
- 多くの作業・園芸用ツールでは高い騒音レベルが発生するため、聴覚を保護する必要があります。
- 建設現場や山林などにおけるプロフェッショナルな作業でも、ご家庭における個人の作業でも、適切な聴覚保護具を着用することをお勧めします。
- 耳栓とイヤーマフは、どちらも同様に優れた保護性能と安全性を提供します。どちらのタイプを選ぶかは、一般的に個人の好みによって異なります。
- 聴覚保護に必要な遮音値は、SNR値またはHML値から算出してください。これについては、ご使用のツールの取扱説明書に記載されています。