STIHLガイドバーの製造方法

STIHLの舞台裏からチェンソー用ガイドバーの開発と製造工程をご覧ください。

概要:バーの開発と製造 

  • STIHLでは様々な用途や要件に対応するガイドバーを開発しています 
  • プロトタイプは開発部門に近いヴァイプリンゲンで製造されます
  • STIHLの品質は徹底したテストや試験を通して保証されています 
  • STIHLではソリッドバー(1枚板)、ノーズバー、3枚構造のバーを製造しています 
  • 軽量バーは重量が軽いため、過酷な作業に最適です 

ヴァイプリンゲンで製造されたガイドバー 

STIHLは、バーデン=ヴュルテンベルク州ヴァイプリンゲンの本社でチェンソー用ガイドバーを開発しています。バーは、 米国、ブラジル、そして開発部門に近いヴァイプリンゲンの世界3カ所で製造されています。 

箱に積み重ねられたSTIHLガイドバー
STIHLのガイドバーの一部は、ヴァイプリンゲンで直接製造されます。

100種類以上のガイドバーは、幅広い用途に対応できるよう、長さや構造が異なります。これらの大きな違いにもかかわらず、すべてのSTIHLガイドバーには共通点があります。それは重量と耐久性の比率が非常に優れていることです。

STIHLガイドバーの開発 

量産化への道のりは、バー開発の最初のステップから始まります。まず、お客様のニーズを分析します。バー開発では、お客様のニーズにフォーカスを当てています。その後、新しいバーをどの用途に向けて開発し、このモデルがどのような要求を満たすべきかを定義します。これはバーの構造に直接影響します。 

どの作業にはどのような構造が必要か?

作業場でSTIHLのガイドバー「ローロマチッ ク E」をチェンソーに装着しているの男性

3枚構造のバー:このガイドバーは3枚の金属板を溶接したもので、プロユーザーだけでなく個人ユーザーにも適しています。最大切断長さ63センチメートルの3枚構造のバーは、軽量でありながら高い安定性を発揮するため、快適で正確な作業を可能にします。

ノーズバーを装着したSTIHLのエンジンチェンソーMS 881で切断される木

ノーズバー:大木で作業を行う場合、特にバー本体の剛性が高いノーズバーは正確に切断するために欠かせません。このバーは軽量設計で、林業におけるプロのニーズに合わせて最適化されています。STIHL MS 881など、当社の大型チェンソーと組み合わせて使用するのが理想的です。

STIHLのソリッドバーを装着したチェンソーで、すでに伐採した木を切断する作業用防護服を着用した男性

ソリッドバー:このガイドバーは鋼材の1枚板で、本体と先端は、耐久性の高い超硬合金で補強でされています。つまりソリッドバーは、ねじれ剛性に対して特別な要件が求められ、ガイドバーの重量はそれほど重要ではない大木での作業に最適です。

最初の設計とプロトタイプ 

バーの用途と構造が決まると、開発部門はコンピューターでCADによる最初のデザインを作成します。こうして新しいガイドバーをバーチャルに作成します。 

CADの設計から、次の工程である製造ラインで最初のプロトタイプを製造します。ヴァイプリンゲンでは開発部門と製造部門が隣接しているため、迅速かつ簡単にプロトタイプを製作できます。 

テストおよび最適化 

すべてのガイドバーは、STIHLの高い品質要件を完全に満たさなければなりません。そのため、広範囲にわたるテストループが行われます。この工程では、各バーがその後の目的に合わせて最適化・改良されるだけでなく、最大限の安全性、ねじれ剛性、材料の品質を確保するための特別なテストも行われます。

ワークショップでSTIHLガイドバーのテストを実施
STIHLのガイドバーは特別なテストを受けています。

キックバックテスト:キックバックテストベンチでは、チェンソー、ガイドバー、チェンで構成されるシステム全体が、キックバック時にどのような挙動を示すかをテストします。このデータは、ユーザーの安全性を最大限に保証するガイドバーを製造するために、開発プロセスに組み込まれています。 

曲げ試験:このテストでは、ガイドバーの剛性をチェックします。STIHLガイドバーは、木材に強い力がかかると変形しますが、その後元の真っ直ぐな位置に戻ります。 

硬度試験:
このテストでは、ガイドバー構造内に加工されたすべての材料が指定された硬度を有していることを確認します。 

寸法テスト:
正確な寸法は、STIHLガイドバーの基本的な前提条件です。従って、このテストでは、バーが所定の仕様を満たしているかどうかをチェックします。 

リリースおよび世界規模でのテスト 

ガイドバーが量産用にリリースされると、必要な生産資源/ツールが作成されます。最初の量産モデルは、世界中のSTIHLのお客様に実際にお使いいただく前に、再度すべてのテストを通過します。  

使用中の一般的な取り扱いや、様々な気候条件下でのガイドバーの挙動に関するフィードバックは、ヴァイプリンゲンの開発部門に直接送られます。これにより、ガイドバーの特性を実際の条件下でテスト・検証できるだけでなく、幅広い経験とフィードバックをバーの開発に直接反映させることもできます。

知っトク情報

STIHLでは、バッテリーチェンソーの切断性能を向上させるため、プロフェッショナル作業向けに設計された特に細いガイドバーを開発しています。3枚構造のSTIHL Light 04ガイドバーは、2022年10月より1.1ミリメートルの溝幅でも提供されています。

ソリッドバーの製造

3枚構造のバー製造

ノーズバーの製造

ノーズバーは、ソリッドバー本体と3枚構造のバーのバーノーズから構成されています。STIHLノーズバーは、従来のソリッド構造と軽量化を実現した軽量構造の両方で製造されています。

STIHLチェンソーを使って森林で作業する作業用防護服を着用した男性
STIHLのノーズバーは、林業におけるプロフェッショナル作業に最適です。

表:STIHL ガイドバーの概要

バータイプモデル例特徴用途およびメリット
ソリッドバー(1枚板)デュロマチック E、1.6 mm
  • 鋼製1枚板 
  • 耐久性の高い超硬合金で保護された本体と先端 
  • 中~高出力のチェンソー用 
  • 堅い木材の伐採および加工用 
3枚構造のバーローロマチック E ライト、3/8" P、1.3 mm
  • 3枚の金属板を溶接
  • プロユーザーおよび個人ユーザー向け 
  • 3枚構造による高い安定性 
  • バーの軽量化により、快適で正確に作業可能 
ノーズバーローロマチック ES、.404"、1.6 mm 
  • 交換可能なバーノーズを備えた1枚板
  • 特に剛性の高いバー本体 
  • 精密でパワフルな切断と硬材での過酷な作業に最適 
  • 林業でのプロフェッショナルなニーズに合わせて最適化 
  • STIHL MS 881など、当社の大型チェンソーと組み合わせて使用するのが理想的 
軽量構造バーローロマチック E ライト P、3/8"、1.3 mm
  • 3枚構造の軽量バー
  • プロユーザーおよび個人ユーザー向け 
  • 軽量化と特殊な軽量設計によりチェンソーのバランスを改善 
軽量構造バーローロマチック ES ライト、3/8"、1.6 mm
  • 軽量構造のノーズバー 
  • フライス加工された空洞のある耐摩耗性に優れた特殊鋼材 
  • 安定した中空部と曲げ剛性の高い上部および下部構造 
  • 完全に交換可能なバーノーズ 
  • 林業における様々な作業に最適 
  • 特殊なレーザー加工により作業時の安全性と保護性が向上 
  • 木材収穫、伐採、枝払いに最適 

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