知っトク情報
STIHLでは、バッテリーチェンソーの切断性能を向上させるため、プロフェッショナル作業向けに設計された特に細いガイドバーを開発しています。3枚構造のSTIHL Light 04ガイドバーは、2022年10月より1.1ミリメートルの溝幅でも提供されています。
STIHLの舞台裏からチェンソー用ガイドバーの開発と製造工程をご覧ください。
03.04.2025
STIHLは、バーデン=ヴュルテンベルク州ヴァイプリンゲンの本社でチェンソー用ガイドバーを開発しています。バーは、 米国、ブラジル、そして開発部門に近いヴァイプリンゲンの世界3カ所で製造されています。
100種類以上のガイドバーは、幅広い用途に対応できるよう、長さや構造が異なります。これらの大きな違いにもかかわらず、すべてのSTIHLガイドバーには共通点があります。それは重量と耐久性の比率が非常に優れていることです。
量産化への道のりは、バー開発の最初のステップから始まります。まず、お客様のニーズを分析します。バー開発では、お客様のニーズにフォーカスを当てています。その後、新しいバーをどの用途に向けて開発し、このモデルがどのような要求を満たすべきかを定義します。これはバーの構造に直接影響します。
3枚構造のバー:このガイドバーは3枚の金属板を溶接したもので、プロユーザーだけでなく個人ユーザーにも適しています。最大切断長さ63センチメートルの3枚構造のバーは、軽量でありながら高い安定性を発揮するため、快適で正確な作業を可能にします。
ノーズバー:大木で作業を行う場合、特にバー本体の剛性が高いノーズバーは正確に切断するために欠かせません。このバーは軽量設計で、林業におけるプロのニーズに合わせて最適化されています。STIHL MS 881など、当社の大型チェンソーと組み合わせて使用するのが理想的です。
ソリッドバー:このガイドバーは鋼材の1枚板で、本体と先端は、耐久性の高い超硬合金で補強でされています。つまりソリッドバーは、ねじれ剛性に対して特別な要件が求められ、ガイドバーの重量はそれほど重要ではない大木での作業に最適です。
バーの用途と構造が決まると、開発部門はコンピューターでCADによる最初のデザインを作成します。こうして新しいガイドバーをバーチャルに作成します。
CADの設計から、次の工程である製造ラインで最初のプロトタイプを製造します。ヴァイプリンゲンでは開発部門と製造部門が隣接しているため、迅速かつ簡単にプロトタイプを製作できます。
すべてのガイドバーは、STIHLの高い品質要件を完全に満たさなければなりません。そのため、広範囲にわたるテストループが行われます。この工程では、各バーがその後の目的に合わせて最適化・改良されるだけでなく、最大限の安全性、ねじれ剛性、材料の品質を確保するための特別なテストも行われます。
キックバックテスト:キックバックテストベンチでは、チェンソー、ガイドバー、チェンで構成されるシステム全体が、キックバック時にどのような挙動を示すかをテストします。このデータは、ユーザーの安全性を最大限に保証するガイドバーを製造するために、開発プロセスに組み込まれています。
曲げ試験:このテストでは、ガイドバーの剛性をチェックします。STIHLガイドバーは、木材に強い力がかかると変形しますが、その後元の真っ直ぐな位置に戻ります。
硬度試験:このテストでは、ガイドバー構造内に加工されたすべての材料が指定された硬度を有していることを確認します。
寸法テスト:正確な寸法は、STIHLガイドバーの基本的な前提条件です。従って、このテストでは、バーが所定の仕様を満たしているかどうかをチェックします。
ガイドバーが量産用にリリースされると、必要な生産資源/ツールが作成されます。最初の量産モデルは、世界中のSTIHLのお客様に実際にお使いいただく前に、再度すべてのテストを通過します。
使用中の一般的な取り扱いや、様々な気候条件下でのガイドバーの挙動に関するフィードバックは、ヴァイプリンゲンの開発部門に直接送られます。これにより、ガイドバーの特性を実際の条件下でテスト・検証できるだけでなく、幅広い経験とフィードバックをバーの開発に直接反映させることもできます。
知っトク情報
STIHLでは、バッテリーチェンソーの切断性能を向上させるため、プロフェッショナル作業向けに設計された特に細いガイドバーを開発しています。3枚構造のSTIHL Light 04ガイドバーは、2022年10月より1.1ミリメートルの溝幅でも提供されています。
STIHLのソリッドバーは、まず高品質の合金化および硬化を行った焼き入れ鋼製ブランク材をレーザー切断装置で切断します。レーザー切断ではバリが発生せず、ソリッドバーの外側輪郭だけでなく、穴や長穴も一工程で切断できます。
STIHLのソリッドバーのノーズは、ステライト製の2つの成形部品によって、損耗、摩耗、高温から保護されています。ステライト成形部品は、まずレーザーで溶接されます。STIHLが独自に開発した機械で素材の接合部分を精密に研削加工します。
次の製造工程では、密閉型研削盤によってチェーンガイドに必要な溝がソリッドバーに研削されます。その後、チェントラックは再び硬化されます。これにより、ソリッドバーは最高の品質要件を満たすことができます。
完成したソリッドバーを梱包する前に、オイル穴加工と塗装が行われます。バーの塗装は、水性塗料を使用して完全自動で行われます。この間、高精度のカメラシステムが塗装面、穴のパターンと寸法を監視し、完成したソリッドバーが、お客様の元に届く前に、STIHLの確かな品質を保証します。
最も軽量なのは、3枚構造のガイドバーです。この軽量バーは大きな空洞を設けた中板に2枚の鋼板を溶接した構造になっています。これらの空洞により、極めて扱いやすく、しかもねじれ剛性に優れた軽量バーが実現します。3枚すべての金属板は、最大20トンの圧力がかかる溶接プレスでプレスされ、互いに電気溶接されます。
ソリッドバーの製造と同様に、STIHLの3枚構造のガイドバーのチェントラックも、すべて全自動機械で硬化されます。
次に、スプロケットノーズを3枚構造のバーノーズに取り付けます。スプロケットノーズがチェーンをバーから持ち上げるため、バーでの摩擦が低減されます。取り付けの際は、バーノーズを広げて、スプロケットノーズをベアリングと一緒に押し込みます。
製造の最終工程では、まず3枚構造のバーは塗装され、次にデジタル印刷装置で印字されます。
ノーズバーは、ソリッドバー本体と3枚構造のバーのバーノーズから構成されています。STIHLノーズバーは、従来のソリッド構造と軽量化を実現した軽量構造の両方で製造されています。
軽量のノーズバーを製造するためには、バーの重量をソリッドバー重量の約3分の1に減らすために、レーザー溶接前に、上流の製造工程で焼き入れ鋼製ブランク材の特定の箇所をフライス加工します。その後、フライス加工部分を覆うためにカバーを溶接します。
続いて、ノーズバーの本体はソリッドバーと同じ製造工程を経て、まず硬化され、レーザーで切断され、その後ガイド溝が研削加工されます。
一方、バーノーズは、高い切断能力を保ちながら軽量化によってより優れた操作性を実現するため、3つのパーツで構成されています。バーノーズをまずバー本体にリベットで固定し、次にチェントラックを硬化してから、スプロケットノーズを取り付けます。
特に、STIHL ローロマチック ES ライトなどの軽量構造のSTIHLノーズバーは、重量が30%軽量であるため、林業における非常に要求の厳しい作業に理想的で、最高のプロ仕様の基準を満たしています。
バータイプ | モデル例 | 特徴 | 用途およびメリット |
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ソリッドバー(1枚板) | デュロマチック E、1.6 mm |
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3枚構造のバー | ローロマチック E ライト、3/8" P、1.3 mm |
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ノーズバー | ローロマチック ES、.404"、1.6 mm |
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軽量構造バー | ローロマチック E ライト P、3/8"、1.3 mm |
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軽量構造バー | ローロマチック ES ライト、3/8"、1.6 mm |
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