STIHLのバッテリー製造
STIHLのプロフェッショナルバッテリーの製造について教えてください。こちらをお読みください。ヴァイプリンゲンに所在するSTIHL本社のバッテリー製造ラインで段階的にご説明いたします。まず次の動画でその様子をご覧ください。
09.10.2024
概要:バッテリー製造
- STIHLは2009年からバッテリー製品の製造を開始
- APシステムの背負式プロフェッショナルバッテリーAR 2000 LおよびAR 3000 Lなど、ヴァイプリンゲンで自社製バッテリーを生産
- セルホルダーの準備から最終ライン検査まで、様々な工程を通して生産
- 最高精度と品質保証に関する様々な措置が必要
STIHLにおけるバッテリー製造
STIHLは長年にわたりバッテリー製造に関する専門知識を積み重ねてきました。STIHLでは2009年からバッテリー製品を製造しています。
パワフルなバッテリーと電気技術の開発を統合し、最新のバッテリーツールにおける性能と耐久性に対するSTIHLの要件を満たすために、STIHLバッテリー&電気技術コンピテンスセンターが2016年に設立されました。
さらに、STIHLでは2018年以来、開発&コンピテンスセンターの近くで自社のバッテリー製造工場も運営しています。
ヴァイプリンゲンで生まれたプロフェッショナルパワー
ヴァイプリンゲンでは、APシステムの背負式プロフェッショナルバッテリーAR 2000 LおよびAR 3000 Lが製造されています。人間工学に基づいた耐久性に優れた充電式バッテリーは、ブロワー、ヘッジトリマー、コンビエンジンなど、プロフェッショナル作業における連続使用に適しています。
STIHLのプロフェッショナルバッテリーAR 2000 Lは、60個のバッテリーセルから1,015ワット時の出力を供給します。重さは7.4キロで、簡単に背負うことができます。
STIHL AR 3000 Lは、さらにパワフルです。総重量9.5キログラムの90個のバッテリーセルは、1,520ワット時の電力を供給します。
STIHLのバッテリー製造を見る
STIHLで必要となる製造工程を教えてください。また、すべての個体が、すでに製造工程段階で高い品質基準を満たすにはどうすればよいのでしょうか?生産の様子をご案内します。
最初のステップでは、バッテリーセルを挿入するセルホルダーに、特殊なデフレクターが自動的に装着されます。これらセル同士の接点は、高荷重に耐え、長い耐用年数を保証するためにレーザーで溶接されます。
STIHLはすでに、この製造段階で簡単なエラー防止技術であるポカヨケを使用しています。デフレクターは、構造上正しい位置にしか装着できません。続いてセルホルダーは、次の製造設備に搬送されます。
ここではピックアンドプレースロボットによって、準備されたセルホルダーにバッテリーセルが装着されます。2個の配置ホイールによって正しく配列されたバッテリーセルを、ロボットがそれぞれの装着パターンに従って取り出します。バッテリー製造のこの段階では、STIHL AR 2000 Lの場合60個、STIHL AR 3000 Lの場合は合計90個のバッテリーセルが取り付けられます。
STIHLのプラスチック製造:STIHLのプラスチック製造工場では、個々のバッテリーセル用ホルダーやバッテリーカバーなど、バッテリーの数多くのプラスチック部品を製造しています。
下部セルホルダーにバッテリーセルが装着されたら、同じくセル結合板が装着された上部セルホルダーを接合ステーションに設置して、バッテリーセルを接合します。この製造工程中に接合ステーションでは自動的に力と変位が測定され、最適に接合されたバッテリーパックだけが次の工程に投入されます。
バッテリー製造の次の段階では、主要電子機器とセンサーが取り付けられます。まず、全自動のプロセスで、デフレクターに電子機器の電源ケーブルの圧着部が高精度で溶接されます。さらに、使用中の過熱による損傷を防ぐために、熱によってバッテリーの温度を調節できる温度センサーなどが取り付けられます。その後、中電圧タップが特許取得済みの仕様で取り付けられ、全自動で溶接されます。
ここで、バッテリーパックに操作ユニットが装備されます。まずユニットを差し込み、ケーブルを接続してから、いわゆる予備テストを行います。このテストでは、電子機器が正常に動作しているかどうかビープ音で確認します。
これにより、製造されたすべてのバッテリーパックの正しい機能性が保証されます。この工程では、予備テストで正常に機能しないと判断された操作要素をポッティング前に交換できるため、不良品が減り、持続可能な製造を実現できます。
次に、バッテリーパックと制御電子機器のシリアル番号が結合されます。これによって、完成したプロフェッショナルバッテリーに、どの個体が装着されているかを確認できるようになります。予備テストに合格すると、各個体のポッティング準備が整います。
ポリウレタンポッティングは、電子部品を絶縁し、湿気や機械的影響から保護します。ポッティング設備では、まず基板の下にポッティングコンパウンドを塗布し、空気を除去します。次に、すべての構成部品が覆われるまでポリウレタンを上昇させます。ポッティングコンパウンドが固まったら、バッテリーの最終組み立て準備が整ったことになります。
まず、最終組み立ての一環でポッティングを目視検査し、白色ペンで確認します。次に、人間工学に基づいて設計された背面プレートを取り付け、ジッパーとハンドルを装着します。その後、操作ユニットを差し込み、フロントフードを取り付けます。個体がねじ止めステーションに送り込まれる前に、接点に予防的にオイルを塗布し、長い間スムーズに接続できるようにします。
最終ライン検査では、バッテリー全体が機能していることを確認します。ここでは、ディスプレイLEDのチェック、最新のソフトウェアのインストール、すべての技術的機能のテストを実施して、現場での使用する際の安全を保証します。検査後、すべての構成部品のラベルをスキャンして、固有の固体に割り当てます。テストに合格し、構成部品が割り当てられた後、バッテリーを使用できるようになります。
添付文書と一緒にプロフェッショナルバッテリーを梱包したあと発送されます。
バッテリー製造において特に重要なことは何ですか?
静電気の放電は、バッテリーの製造工程全体を通じて重大なリスクをもたらします。そのため従業員は、製造中にまだ保護されていない電子部品を効果的に保護するため、専用の静電気帯電防止作業着を着用します。
STIHLでは、充電中も使用中も最高の品質を提供するために、セルの組み立てから最終ライン検査まで様々な品質保証プロセスを導入しています。
繊細な部品は、製造工程での誤差を許容できません。そのため、バッテリー製造のあらゆる段階で最高の精度が要求されます。このようにして、当社と当社のお客様の高い品質要件を満たすバッテリーが完成します。
今後の展望
STIHLは、ヴァイプリンゲン本社でのバッテリー製造を引き続き拡大し、プロ用のバッテリーAP 500 Sもドイツ国内で生産する予定です。同時に、プロ用バッテリー製品の新しい製造工場も建設中で、2024年にはヴァイプリンゲン第2工場で生産を開始する予定です。
STIHLは、ユーザーが用途に合わせてより正確にバッテリーを調整できるように、スマートなバッテリーの開発を続けていきます。これは例えば、作業に合わせて自動的にカスタマイズされるインテリジェントな充電技術によって実現できます。これによって、将来的にはバッテリーの寿命を最大限に保ちつつ、オンタイムでフルパワーを供給できるようになります。